うつ病の発症率は47%低い
忍耐が細胞の老化を遅らせる仕組み
スピードへの執着が文字通り私たちを老化させています。
待つ力が若さに。
筆者は17歳のときメキシコの農場で過ごし、食べ物や物事には自然な「旬」や「熟す時期」があり、無理に急いだりせず待つことの重要性を実感しました。「瓜熟蒂落」(瓜は熟すと茎から自然に落ちる)という中国のことわざを引き合いに、焦らず待つことの価値を説いています。
研究結果
- 忍耐力を測るため、「明日100ドルを受け取るか、1か月後に120ドルを受け取るか」という選択を大学生に提示し、血液中のテロメア(細胞の端にあり老化度を示す)長さを測定。
- 今すぐ欲しいと言って即金を選ぶ人はテロメアが短く老化が進んでいた。一方、待てる人のテロメアは長く若々しい状態だった。
- 慌てて焦る人はストレスホルモンのコルチゾールが常に高く、細胞の酸化ダメージや炎症が起きやすい。
- 忍耐強い人はバランスの良い食事を作り、睡眠を確保し心穏やかに過ごす傾向があり、うつ病の発症率は47%低い。
心理的側面
- 待つ時間の感じ方は、何をして過ごすかによって大きく変わる。「鏡があるとエレベーターの待ち時間が短く感じる」例が示されている。
- 待ち時間が予告され、説明があるとストレスは軽減される。
- 焦りは正常な感情だが、行動を誤らないためにリフレーミングや期待調整、深呼吸などでコントロールできる。
- 「マイクロウェイト」チャレンジとして、毎日の短い待機時間にあえて何もしない練習も勧められている。
結論
- 忍耐は単なる美徳ではなく、細胞レベルでの若さを保ち、心身の健康、良好な人間関係、予防医学の観点からも不可欠な能力である。時には待つことが最善の選択になるため、焦らず「熟すのを待つ」という心持ちを持つことが重要だとしています。
ポジティブ・シフト 心理学が明かす幸福・健康・長寿につながる心の持ち方
心理学の研究に基づき、心の持ち方を変えることで幸福感や健康、さらには長寿につながる方法を解説しています。著者は、どんな性格の人でも自分自身や世界に対する考え方を少し変えるだけで、より大きな幸福と健康を手に入れられると説いています。
本書の内容は、ポジティブな思考やマインドセットを自然に身につけている人が存在する一方、多くの人にとっては意識的な努力が必要であることを示し、その努力の具体的な方法を科学的に示しています。心配性や悲観的な性格の著者自身が、心理学の膨大な研究成果を基に、「人生を変えるマインドセットのつくり方」をわかりやすく具体的に解説している点が特徴です。
本書は、幸福な人生を望む人に向けた啓発書であり、ポジティブな思考を得ることで、コミュニケーション能力の向上や充実した生活につながることも触れています。また、自分の幸福感を高めることは周囲にも良い影響をもたらす、と著者は主張しています。
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