「供給側の強化」と「コスト上昇要因の緩和」が中心
コストプッシュ型インフレに対する主な対策
需要抑制ではなく供給能力の回復やコスト上昇要因の緩和に重点を置くことです。具体的な対策としては以下が挙げられます。
- 生産性向上や規制緩和:企業の生産性を高めたり、供給を阻害する規制を緩和・撤廃することで、供給力を強化しコスト上昇圧力を和らげます。
- 労働市場の改善:賃金の適正化や人材不足の解消など、労働市場の健全化を図ります。
- 積極的な財政政策:公共投資などを通じて供給制約を緩和し、生産・流通インフラの整備やエネルギー供給の安定化を進めます。
- エネルギー・原材料価格対策:ガソリンや小麦など生活必需品の価格上昇を抑制するための補助金や価格調整策も有効です。
利上げなどの金融引き締め政策は、コストプッシュ型インフレには効果が限定的であり、むしろ景気悪化や企業活動の萎縮を招くリスクがあるため、慎重な対応が求められます。
このように、コストプッシュ型インフレ対策は「供給側の強化」と「コスト上昇要因の緩和」が中心となります。
「利上げ」「増税」「公共料金の調整」
デマンドプル型インフレ(需要牽引型インフレ)への主な対策
需要の拡大を抑制する政策が中心となります。具体的には以下の方法が有効です。
- 金融引き締め政策(利上げ)
中央銀行が政策金利を引き上げることで、企業や個人の借入コストを増やし、消費や投資を抑制します。これにより、過剰な需要の拡大を抑えてインフレ圧力を弱めることができます。 - 財政政策の抑制(増税・政府支出の削減)
政府が増税や歳出削減を行い、企業や個人の可処分所得を減らすことで、需要の増加を抑えます。 - 価格統制(公共料金やエネルギー価格の調整)
必要に応じて公共料金や特定商品の価格を調整し、物価上昇を直接的に抑制する措置も取られることがあります。
これらの対策は、経済全体の過熱を抑え、インフレ率を安定させることを目的としています。ただし、過度な引き締めは景気減速や企業活動の抑制につながるリスクもあるため、慎重な運用が求められます。
ディマンドプル型の場合は、需要拡大を抑制することがインフレ抑制につながる。政策金利の調整によってインフレ抑制効果が期待できるのは、ディマンドプル型のインフレの場合です。