中国で賃金未払いと抗議が頻発 外資撤退、企業倒産、地方財政逼迫などの経済環境悪化が背景に

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中国の不動産バブル崩壊は単なる市場の調整にとどまらず、関連産業や社会情勢に深刻な影響

中国全国で拡大・頻発する「給料ゼロ」

2025年7月下旬、中国全土で大規模な賃金未払い抗議が頻発しており、製造業、建設業、不動産業など多岐にわたる業界で問題が深刻化しています。特に福建省泉州市のスポーツブランド・Xtep(特歩)の靴工場では半年分の給料未払いにより数百人の労働者が道路を封鎖し抗議、警察との衝突も発生しました。この工場は受注減や資金繰り悪化が背景にあり、関連協力工場の倒産も引き起こしています。

未払い問題は民間企業のみに留まらず、国有企業(国企)や中央企業(央企)にも拡大しています。例として、貴州省の中鉄十四局が農民工への1年以上の給料未払い、山東省の中鉄十二局でも未払い抗議が報告されました。また、不動産大手の南京万科地産では最長3年間の未払いが指摘され、労働者の現場立ち入り制限も問題視されています。広東省のリフォームチェーン靓家居も突然営業停止し、未払い問題で混乱が続いています。

未払いは常態化しており、一部企業では5年間給与を払わず自主退職に追い込む例もあります。陝西省西安市の秦嶺ゴルフクラブでは5年間未払いがあり、労働者は客のチップで生活している状況です。建設現場で警備員と労働者が激突する事件も起きています。

制度面では、中国共産党が未払いに対する厳罰を打ち出しているものの、法律の実効性は乏しく、特に国有・中央企業や地方政府関係企業では訴訟や責任追及が形骸化しています。裁判で勝訴しても強制執行が困難で、労働者保護に大きな壁が存在しています。地方政府の中には企業擁護や労働者弾圧の動きも見られ、未払い問題は中国経済の構造的な問題を映し出す重要な指標とされています。

こうした賃金未払いと抗議の頻発は、外資撤退や企業倒産、地方財政逼迫などの経済環境悪化が背景にあり、労働者が正当な権利を守るための社会的なハードルが極めて高い現状を示しています。

 

 

中国不動産崩壊 リフォーム経営者が相次いで命を絶つ

中国の不動産市場は長期にわたり深刻な低迷状態にあり、不動産バブルの崩壊が経済全体に大きな悪影響を及ぼしています。この不況の影響は不動産開発業だけでなく、リフォームや家具業界にも及び、業界全体が生存危機に陥っています。

具体的には、大手家具建材企業「居然智家」のトップであり、かつて富豪ランキングに名を連ねていた汪林朋CEO(57歳)が7月27日に自殺し、その翌日に同社の株価が急落しました。汪林朋は当局の調査や株式の司法凍結を受けており、職務に復帰してわずか5日後の自殺でした。このほかにも、リフォーム業界の著名企業主が相次いで自殺しており、業界全体の危機を象徴しています。

中国不動産市場の供給過剰や資金繰りの問題は、マンション建設の中断や未完成物件の増加につながり、住宅購入者の購買意欲の低下を招いています。不動産バブルがすでに崩壊したとする見方もあり、経済専門家の間では長期の経済停滞や日本の「失われた30年」のような状況に陥る可能性が指摘されています。

政府は健全な企業への支援を打ち出しながらも、不動産関連企業の整理を進めており、破産すべき企業は破産させる方針を示しています。こうした政策のなか、リフォーム・家具業界の淘汰的崩壊は避けられない状況にあります。

総じて、中国の不動産バブル崩壊は単なる市場の調整にとどまらず、関連産業や社会情勢に深刻な影響を与え、多くの経営者の自殺や企業倒産を招く異例の危機的局面に入っているといえます。

 

 

日中危機の本質 日本人の常識は世界の非常識である
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日中間の安全保障情勢を多角的に分析し、台湾侵攻の可能性、中国の「五族」とその国家理念「中国の夢」、および日本の「核心的利益」について深く論じている。著者は「日本への核威嚇は機能しない」「尖閣諸島問題では中国に法的勝ち目はない」とし、中国が台湾を先制攻撃した場合、台湾が独立を宣言して国家間戦争となり、中国の『台湾問題は国内問題』という主張は成立しなくなると指摘する。さらに、歴史的な視点も交え、日中戦争期の蒋介石の言葉を引用しながら、現在の中国共産党が抱える国内の民族主義問題を「内臓の病」として根深いものと位置づける。これに対し日中対立は「皮膚の病」に過ぎないとしている。著者はこのように、戦争と民族問題の本質に立脚し、一般には指摘されにくい視点から日中の力関係を分析している。

目次には、戦争の本質や東シナ海・南シナ海の領有問題、台湾侵攻の政治的背景、中華帝国の理想と矛盾、独裁と民主主義の対立、日本の進むべき道などが含まれている。

日本人の常識と世界の現実の乖離を示しつつ、日中関係の安全保障問題を包括的かつ現実的に解説する書として評価されている。特に台湾問題や尖閣問題、そして中国共産党の国内政治の深層分析が特徴的である。

 

 

 

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