内需を拡大させたい中国に投資をするのは、中国共産党の軍拡に協力するようなもの

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中国で外国資本が大規模撤退

外資が「列をなして」中国撤退

外資撤退の加速と中国経済への影響

最近、中国では外国直接投資(FDI)の純流出額が過去最高を更新し、外資の大規模撤退が注目を集めている。2024年、中国の外資導入額は前年より27%減少し、資本収支も大幅赤字となった。ブルームバーグによれば、FDI純流出は1680億ドルに達し、外資の離脱が加速している。背景には以下の要因が重なっている。

  1. 米中貿易摩擦の再燃(「トランプ2.0関税戦争」への懸念)
  2. 経営・政治環境の悪化
  3. 国内需要の低迷と競争の激化
  4. 欧州経済の停滞による輸出への打撃
  • 中国政府は「2025年外資安定化行動計画」を打ち出したものの、効果は乏しい。

外資撤退の実情と特徴 中国市場からの撤退や縮小を決めた具体的な外資企業が増えている。

  • 三菱自動車:中国から完全撤退
  • TOTO:上海・北京の工場閉鎖
  • IBM、Microsoft、Amazon:研究開発拠点を縮小
  • 上汽VW:南京工場閉鎖
  • IKEA、パナソニック、キヤノン:生産拠点を東南アジア等に移転

消費分野でも、スターバックスやマクドナルドのようなグローバルブランドが苦境に立たされている。理由は、

  1. 超低価格競争(ラッキンコーヒーや蜜雪氷城など)
  2. 外資に対する政策的差別など。
  • この結果、外資ブランド撤退は「愛国的」勝利と捉える論調もあるが、むしろ食品安全や製造基準の低下につながる懸念が指摘されている。

学者による分析

  • 張弘遠(台湾):外資引き止め策の背景は米国との関税戦争への備え。外資はサービス産業でも不利な扱いを受けている。
  • 史鶴凌(オーストラリア):中国当局は外資の技術・ノウハウを吸収した後、国内企業に置き換える慣行がある。製造業では既に代替が進み、外資流出は長期化する見込み。

まとめ 外資企業の中国撤退は単なる一時的現象ではなく、

  • 国際的な地政学的摩擦
  • 内需の伸び悩み
  • 政策的不平等
  • 激しすぎる価格競争

が複合的に作用している。

これにより、中国経済が国際的な標準や技術の流入を失い、結果的に産業基準や食品安全の低下を招く恐れがある。

 

 

内需を拡大させたい中国に投資をするのは、中国共産党の軍拡に協力するようなもの

中国が内需拡大を重視し投資促進を図る一方で、中国共産党は大規模な軍拡政策も推進しているため、中国に投資することが結果的にその軍事拡張への協力となる側面があるとの指摘がある。

具体的には、中国共産党は経済成長のために消費拡大や内需の活性化を政策の柱として打ち出しているが、それと並行して、軍事費は過去20年以上にわたり二桁成長を続け、習近平政権下でさらに軍事力の現代化と強化を進めている。

このため、中国への投資は、直接的には内需拡大や経済成長の恩恵を狙うものである一方、間接的には中国の経済力強化が軍拡資金の源泉となっているため、軍拡への資金流入を助長してしまうとの見方がある。特に軍民融合政策により、経済活動と軍事力増強が密接に連携していることから、中国経済への投資が軍拡に貢献しているとの懸念は根強い。

一方で、経済政策の中心は内需拡大であり、その実態は消費促進や社会保障の充実、雇用促進にあり、必ずしも軍拡に直結するわけではないとの見方も存在するが、中国の国家戦略として軍事・経済の両面での力強い成長を目指している点は重要である。

要約すると、中国に投資することは、その経済成長を支援する一方で、結果的に中国共産党の軍事力拡大に間接的に貢献する構図であるため、投資判断には慎重な検討が求められる。

 

 

中国に投資をして失敗した欧米。民主化しなかった

欧米は1980年代以降、中国が経済的に発展すれば政治的にも民主化するだろうという期待を抱き、中国への投資を進めてきた。しかし実際には、中国は共産党一党支配の政治体制を維持したまま経済発展を遂げ、民主化は進まなかった。これを受けて欧米は「中国に騙された」と感じており、投資戦略の失敗と捉える見方もある。

中国が民主化しなかった主な理由としては、1989年の天安門事件以降、人民も政府も政治的自由の議論を避けるようになり、政治体制の変革に対する大きな恐怖や抵抗が生じたことが挙げられる。加えて、中国共産党政権は西側の一律の民主主義モデルを拒否し、「中国には中国の政治制度がある」と強調してきた。

欧米側の中国投資が失敗とされる具体例もあり、市場の過大評価や買収後の経営統合の失敗、不透明な中国企業の統治構造などで成果があがらず、投資の撤退や損失も生じている。さらに、中国の強硬な外交姿勢(戦狼外交)によってEUなどとの投資協定も停滞し、欧米と中国の経済関係には摩擦が生じている。

まとめると、欧米は経済発展を通じて中国の民主化が進むとの期待から投資を増やしたが、その政治体制の本質的な変化は起こらず、投資も思うように成果を上げられなかった。これが「中国に投資をして失敗した欧米」と評価される背景である。

 

 

最近の中国市場進出におけるリスク

最近の中国市場進出におけるリスクと見直されている理由は主に以下の点に集約されます。

1. チャイナリスクの高まり

  1. 政治的・経済的な不確実性が増大し、中国政府の政策変更や経済の不透明さが企業活動に影響を及ぼしています。
  2. 米中貿易戦争の長期化に伴う高関税や政治緊張が、サプライチェーンの見直しや事業戦略に大きなリスクをもたらしています。
  3. 法規制の頻繁な変動、特に外国企業に対する規制強化や知的財産権保護の不十分さが運営を難しくしています。
  4. 撤退時の許認可の煩雑さや当局の抵抗により撤退コストが増大する場合があります。

2. 人件費の上昇

  • 経済発展による賃金水準の上昇で、かつての低コスト労働力のメリットが薄れ、特に製造業の利益率を圧迫しています。

3. 市場環境の変化と競争激化

  • 中国企業の技術力・ブランド力の向上により外資企業の競争環境が厳しくなり、かつてのような高い収益が期待しにくくなっています。
  • 景気回復の遅れ、構造的な供給過剰、少子高齢化などの国内課題も長期的に成長の足かせとなっています。

4. 規制強化やビジネス環境の悪化

  • 反スパイ法などの法規制強化により、正常なビジネス活動が監視や摘発のおそれにさらされているとの不安が外資企業に広がっています。
  • データ管理や技術移転に関する厳格な規制も企業の負担増につながっています。

5. 地政学的リスク

  • 米中間の政治・経済的緊張、台湾問題などの地政学的要因が事業継続に不確実性をもたらしています。

これらの要素が複合的に作用し、中国市場の魅力は依然として大きい一方で、リスクを十分に認識し見直す動きが強まっています。進出の慎重姿勢や戦略の再考、経営資源の他国(インド、ベトナムなど)への分散といった対応が目立つようになっています。

 

 

どうして中国への依存を低減させる動きが出ているのか

中国への依存を低減させる動きが出ている背景には、複数のリスクや課題があるためです。

主な理由は以下の通りです。

  1. 地政学的リスクと政治的緊張の高まり
    米中対立や台湾問題などの政治的緊張が事業継続に不確実性をもたらし、多くの企業や国がリスク管理の一環として中国依存を見直しています。これに伴い、米国は製造拠点をASEAN諸国やインドなど中国以外の地域に分散させる動きを強めています。
  2. サプライチェーンの脆弱性
    新型コロナの影響などで、中国に集中したサプライチェーンの寸断リスクが顕在化しました。これを受け、企業や政府は生産拠点の多元化や国内回帰(リショアリング)を推進し、依存度を下げようとしています。
  3. 中国の政策変動と法規制の不透明さ
    中国政府の急激な政策変更や規制強化、知的財産権保護の不充分さが企業運営に不安をもたらし、安定的なビジネス環境を求めて依存低減を検討する要因になっています。
  4. 賃金上昇や競争激化によるコスト増加
    経済発展による労働コストの上昇と、現地企業の競争力向上により、中国だけに依存し続ける経済的メリットが減少しています。
  5. 経済安全保障の観点
    脱「中国依存」は単なる経済的な理由だけでなく、経済的な利益と安全保障を両立させるための戦略として重要視されています。特に日本企業では中国依存を減らすことで外部リスクに備える意識が高まっています。

これらの背景から、企業や国家レベルで「チャイナプラスワン」戦略と呼ばれる、中国以外の地域に生産や投資の拠点を分散させる動きが加速しています。ただし、中国の産業集積の厚さや市場の重要性から、完全に依存を断つことは難しく、慎重にバランスをとった対応が続いている状況です。

 

 

財務省と国に騙されない! テレビ・新聞が報じない経済常識
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日本の財務省や政府が国民を騙している経済問題の真実を明かす書籍です。消費税の重さや社会保険料の膨大さ、実質賃金の低迷、インフレの良し悪し、トランプ関税や米価高騰の影響、さらには財政破綻論や財務省の策略など、テレビや新聞では報じられない経済の実態を一問一答形式で分かりやすく解説しています。

著者の三橋貴明氏は経済評論家であり、旧来の財政思考に縛られた政府の政策が日本経済の停滞を招いていると指摘します。日本は世界のインフレ環境でも貧困化しているが、これは政府の緊縮財政や消費税政策などが原因であるという立場です。消費税の廃止が高度経済成長をもたらす可能性や農業政策の問題点も論じられています。

この本は、参議院選前の経済問題を背景に、日本経済の現状を正しく理解し、今後の成長と飛躍を目指すための経済常識を提供することを目的としています。誰でも分かるよう対話形式で書かれており、日本人として知っておくべき経済の基本が学べる内容です。

 

 

 

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