地熱発電の問題点
- 初期投資・建設コストの高さ
地熱発電所の建設には、地質調査や地下深くの掘削、発電設備の設置など多額の費用がかかります。これが導入の大きなハードルとなっています。 - 地理的制約
地熱資源は火山帯や地下活動の活発な地域に限られるため、立地場所が限定され、全国どこでも設置できるわけではありません。 - 技術的課題
地下の熱水の持続的な確保、地熱層の温度や圧力の管理が難しいです。さらに、硫化水素など腐食性の高い物質を含む地熱流体による設備の腐食が問題となり、耐久性や安全性の確保が求められています。 - 発電量の不安定さ
地温の変動や地震による地盤変動で地下熱水の流れが変化し、発電量が大きく変動することがあります。 - 誘発地震のリスク
地下に水を注入する際に地殻の応力バランスが変わり、誘発地震が起きる可能性があります。 - 環境影響と許認可の長期化
環境影響評価に時間がかかることや、国立公園や温泉地など自然保護区域や観光地が多い地域への設置は制約が多いです。
これらの課題に対し、日本では技術改良や専門人材の育成、発電所を複数設置しての発電量安定化、研究開発の進展などで解決を目指していますが、未だ十分には普及していない状況です。また、地熱発電は再生可能エネルギーとして安定的・クリーンな電力供給源であるため、これらの問題克服は今後の重要な課題です。
以上を踏まえると、地熱発電の普及には「コストの軽減」「技術的リスクの解決」「適切な場所選定と環境配慮」が必須課題と言えます。
資源量は世界3位…次世代地熱実用化へ、経産省の本気度
日本は地熱資源量が2347万キロワットで、世界第3位の豊富な地熱資源を有している。米国やインドネシアに次ぐ規模で、特に東北や九州地方に地熱発電所が集中している。しかし、地熱発電設備容量は世界で10位とされ、資源の豊富さに比べて十分に活用されていない状況にある。
この背景には、地熱発電に適した地域が国立公園や山間部に多く、開発面積が制限されていることがある。そのため、従来型地熱発電だけでは大規模化や大出力化に課題がある。
経済産業省・資源エネルギー庁は2025年秋をめどに、次世代型地熱発電の実用化を目指すロードマップを策定する計画であり、2030年代の発電開始を見込んでいる。注目されている技術の一つが「超臨界地熱発電」で、これはマグマに近い深さ(約4~5キロメートル)から、通常より高温(400~500度)かつ高圧の超臨界熱水を利用して発電するもので、従来型より出力が数倍大きく発電コストの低減も見込める。
ただし、超臨界地熱は過酷な環境下での掘削や設備の耐腐食性向上など技術的課題があるが、NEDOなどの支援のもと技術開発が進んでいる。海外でも米国、ニュージーランド、アイスランドなどが同技術の実証やコスト試算を進めている。
一方、従来型地熱についてもAIやIoTを活用した発電設備や地熱貯留層の効率的管理技術の開発が進められている。これにより安定的な発電や環境保全への対応も強化される見込みだ。
地熱発電は太陽光や風力と異なり天候に左右されにくく、温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラルに資する有力な再生可能エネルギーとして期待されている。経済産業省は次世代型技術の実用化によって日本の地熱資源のさらなる活用と産業成長を目指しており、これが国内の脱炭素エネルギー政策における重要な一手となっている。
以上の動きは、日本の地熱資源を最大限に活用し、経済効果も最大46兆円にのぼる可能性があると言われている。
日本初、住民主体の地熱発電所。全30世帯の出資で年6億円の売電収入。地域資源は誰のもの?
- 熊本県小国町西里・岳の湯地区で日本初の住民主体型地熱発電所が誕生した経緯と、その運営方法、地域への影響について詳しく紹介しています。以下に要点をまとめます。
住民主体型の地熱発電所「わいた地熱発電所」
- 地区の全30世帯が出資して合同会社「わいた会」を設立。
- 発電所の建設・運営は専門企業「ふるさと熱電」に委託、土地の所有は地元のまま。
- 2015年稼働開始、年間売電収入は約6億円。収益の2割が「わいた会」に、8割が委託費に。
- 年間発電量は1,700万kWh、小国町と南小国町全世帯分を賄える規模。
成立までの経緯
- 1990年代から国と大手企業による地熱発電構想があったが、温泉資源への影響懸念で対立、計画は頓挫。
- その後10年を経て、世代交代とともに「地域主体での事業」を模索。
- 「ふるさと熱電」が地域合意型の仕組みを提案し、信頼関係を構築。
地熱発電の特徴と難しさ
- 地下500〜2,000mの掘削が必要で、初期投資は数億円規模。
- 成功確率は8〜10%未満と低く、リスクが高い。
- 温泉地や国立公園内が多く、地元との対立が起こりやすい。
- わいた地区では住民が主体のため協力関係が築け、掘削成功率は75%を達成。
地域への還元と活用
- 売電収益は住民への配当や水路整備、公民館改修などに活用。
- 余剰熱を利用したグリーンハウスでバジルの周年栽培。
- 寄付金制度で温泉資源への不安に備える基金を町が設置。
- 復活した盆踊りや景観整備、新しいカフェ「地熱珈琲」など観光資源にも展開。
「わいたモデル」の広がり
- 住民主体で地域資源を守りながら活用し、利益を地域に還元する仕組み。
- 北海道など他地域でも地域共生型発電として応用の動き。
- 赤石社長は温泉・森林・漁業など他の地域資源活用への応用も提案。
まとめ
- 岳の湯地区の「わいたモデル」は、外部資本依存の開発ではなく、住民が主体となり地域資源を守りつつ活用し、持続的な地域活性化につなげた事例です。地熱発電を「地下の熱」ではなく「地域の熱」と捉え、収益や熱を雇用・観光・産業に循環させる点が特徴で、全国の地域資源活用に大きなヒントを与えています。
熊本県阿蘇郡小国町西里3051
わいた地熱発電所
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