ハワイのDFS全店舗が閉店へ ハワイ観光業界の現在地
ハワイの観光業界における象徴的な存在であったDFS(免税店)の完全撤退は、2026年のハワイ観光の現状を象徴する出来事と言えます。
提示された記事の内容に基づき、現在の状況と今後の展望について専門的な観点から整理しました。
ハワイにおけるDFS閉店の具体的なスケジュール
ハワイで63年の歴史を誇るDFSは、州内すべての店舗を閉鎖し、市場から完全に撤退することを決定しました。
- ワイキキ店(Tギャラリア):2026年1月28日に閉店
- ダニエル・K・イノウエ国際空港(ホノルル空港)店:2026年3月31日に閉店
- マウイ島カフルイ空港店:2026年8月31日に賃貸契約終了をもって閉鎖
2023年にワイキキ店をリニューアルオープンさせたばかりでしたが、わずか3年弱での決断となりました。
撤退に至った主要な要因
DFSの撤退背景には、ハワイを訪れる観光客の構造変化と、それに伴う消費行動の変容があります。
- 日本人訪問者数の低迷と購買力の低下 ハワイ観光の最大の顧客層であった日本人が、コロナ前の水準まで戻っていません。また、円安と物価高の影響により、現地での1人あたりの消費額が減少傾向にあります。
- 米国本土からの観光客への依存 現在のハワイ訪問者の約8割は米国本土からの旅行者です。国内旅行者である彼らにとって、免税店でのショッピングはメリットが薄く、これがDFSの収益を圧迫する要因となりました。
- 旅行スタイルの変化 「免税店で高級ブランド品を買う」という従来のスタイルから、体験型観光や現地での食文化を楽しむスタイルへ、旅行者の価値観がシフトしていることも影響しています。
2026年のハワイ観光業界の展望
2026年のハワイ観光は、数的な回復を見せつつも、その質的な内容は大きく変化していくと予測されています。
- ターゲティングの強化 ハワイ州観光局は、従来の大量誘客から、リピーターや富裕層をターゲットにした戦略へ完全にシフトしています。2026年もこの傾向は続き、日本人訪問者は「ハワイ好きのコア層」が中心となると見られます。
- コスト上昇の継続 円安傾向に加え、2026年からは宿泊税の増加も予定されています。これにより、日本人にとってのハワイ旅行は、さらに「特別な時のための選択肢」という側面が強まるでしょう。
- 観光地としての「米国化」 日本人観光客が集まるスポットが減少する一方で、米国人好みのリゾートとしての開発が進む可能性があります。ワイキキの治安や夜の活気を支えていたDFSの閉鎖は、街の雰囲気にも影響を与えることが懸念されています。
ハワイは依然として魅力的なデスティネーションですが、2026年は「かつての身近なハワイ」から「高付加価値な国際リゾート」への変革期にあると言えます。
新興国が豊かになった。その結果、先進国の中間層以下が貧しくなった
あなたが指摘された現象は、経済学の世界では「エレファントカーブ(象の曲線)」という有名なグラフで説明される、現代経済の非常に重要な側面です。
この現象の背景にある構造と、なぜそのような変化が起きたのかについて、専門的な視点から詳しく解説します。
エレファントカーブが示す世界の所得変化
元世界銀行のエコノミスト、ブランコ・ミラノビッチが提唱した「エレファントカーブ」は、1988年から2008年までの20年間で、世界のどの層がどれだけ豊かになったかを示しています。
このグラフの形が「象」に似ていることからそう呼ばれており、主に3つの山と谷があります。
- 象の背中(大きく上昇):中国やインドなど、新興国の中間層です。グローバル化によって工場が移転し、雇用が生まれ、所得が劇的に向上しました。
- 象の鼻の付け根(急落):日本、米国、欧州など、先進国の中間層から低所得層です。この層の所得は、この20年間でほとんど増えていない、あるいは実質的に減少しています。
- 象の鼻の先(高く上昇):世界のトップ1%にあたる超富裕層です。国境を越えて投資を行い、グローバル経済の恩恵を最も受けています。
なぜ先進国の中間層が「負けた」のか
新興国の発展が、なぜ直接的に先進国の中間層の停滞につながったのか。そこには明確なメカニズムがあります。
- 労働力の代替(アウトソーシング) グローバル化によって、企業はより安い賃金を求めて生産拠点を新興国へ移しました。その結果、先進国でかつて中間層の家計を支えていた「製造業の定職」が失われました。
- 賃金の下押し圧力 新興国の膨大な労働力と競争することになり、先進国の労働者は賃上げを要求しにくくなりました。企業は「賃金を上げるなら海外に移転する」という選択肢を常に持つようになったからです。
- スキル偏重型の技術進歩 ITやAIの発展は、高度なスキルを持つ富裕層の生産性をさらに高める一方で、定型的な業務を行う中間層の仕事を機械や海外の安い労働力に置き換えてしまいました。
この構造がもたらした政治的影響
あなたが感じている「新興国は豊かになり、自分たちは貧しくなった」という感覚は、先進国全体で共有されている深刻な問題です。
- 中間層の崩壊:かつて社会を支えていた分厚い中間層が崩れ、所得の二極化が進みました。
- 政治的不安:この経済的な不満が、自国第一主義や既存政治への不信感へとつながり、世界的な政治情勢の変化(ポピュリズムの台頭など)の原動力となっています。
新興国が豊かになったことで世界全体の貧困は減少しましたが、その代償として先進国内部での格差が広がり、社会の安定が揺らいでいるのが現代の姿と言えます。


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