原爆が実戦で使われ、その惨状を知ったオッペンハイマーは深い苦悩
第二次世界大戦中、アメリカは極秘プロジェクト「マンハッタン計画」を立ち上げました。主人公のJ・ロバート・オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて、このプロジェクトで世界初の原子爆弾の開発に成功します。
しかし、原爆が実戦で使われ、その惨状を知ったオッペンハイマーは深い苦悩に陥ります。戦後はさらなる威力を持つ水素爆弾の開発に反対し、その立場から冷戦や赤狩りといった激動の時代の中で苦悩し葛藤しながら没落していく様子も描かれます。
物語は、科学者としての栄光と、兵器の恐ろしさに直面しての苦悩、社会的な政治的波紋に巻き込まれるオッペンハイマーの人生を描いています。
アメリカで「原爆投下は正当化できない」という人が増えている?
アメリカでの原爆投下に対する世論はここ数年で変化しています。2025年に行われたピュー・リサーチ・センターの調査によると、アメリカ成人の35%が「原爆投下は正当化できる」と答えた一方で、31%が「正当化できない」と回答し、33%は「わからない」としています。特に18〜29歳の若い世代では「正当化できない」と考える人が44%に達し、「正当化できる」の27%を上回りました。年齢が高くなるほど正当化を支持する傾向があり、65歳以上では48%が支持しています。
この結果は、1945年の原爆投下直後の調査で85%が正当化を支持していたのと比べると大きな変化で、2015年の調査では56%が正当化支持だったのに対し、近年はその割合が減少していることが示されています。若い世代の間で戦争や原爆の倫理についての再考が進んでいるものの、原爆の詳細な被害や経緯についての知識は増えていないため、「正当化できない」と考える理由を明確に説明できない若者も多いとされています。この背景には、核兵器に対する複雑な感情やアメリカ国内における価値観の多様化が影響しているとみられています。
まとめると、アメリカでは原爆投下を正当化できないとする人が増えており、とくに若者の間でそうした傾向が顕著です。一方で、年配層の間では依然として正当化を支持する声が根強く、世論は世代によって分かれている状況です。この変化は時間の経過と共に戦争の記憶や価値観が変わってきたことを反映しています。
「原爆投下正しかった」米国人46% 若年層は「間違い」が多数 70年経て変化する意識
アメリカにおける広島・長崎への原爆投下に対する意識は、時代と世代によって大きく変化しています。2015年の調査では、アメリカ人の約46%が原爆投下は「正しかった」と答え、29%が「間違いだった」としていましたが、特に若年層(18〜29歳)では「間違いだった」という意見が優勢で、45%が投下決定を誤りと見なしており、「正しかった」と答えたのは31%にとどまりました。一方、年齢層が上がるにつれて肯定的意見が増え、65歳以上では65%が投下を正当としています。
この傾向は2025年の最新調査でも続いており、原爆投下を「正当化できる」とする割合は35%、「正当化できない」が31%、そして「わからない」も33%に達しています。若者層の支持は特に低く、18歳から29歳の間では27%にまで減少しています。性別でも男性の方が肯定的な傾向が強く、女性は低めの支持率です。
こうした世論の変化は、戦後直後1945年の調査での85%という圧倒的支持からすると大きな変化です。この時期は戦争終結を早め、アメリカ兵の犠牲を減らしたという「原爆正当化神話」が強く支持されていましたが、政府資料の公開や核兵器の恐怖の認識の深まり、また若い世代を中心とした反核・平和意識の高まりが、この支持率の低下をもたらしています。
さらに、アメリカ国内の意見が分かれる背景には、核兵器自体の発明は良くないことと認識しながらも、戦争終結の早期化という側面で原爆投下を肯定するという相反する考え方が共存していることも指摘されています。
日米関係と日本の今後の進むべき方向に関しては、日本が再軍備ではなく、世界の平和の調停者として積極的な役割を果たすべきだとの意見も示されています。日本の平和憲法や戦後の歩みを背景に、核兵器の惨禍を二度と繰り返させないための世界的な平和運動をリードする資格が日本にはあるとされています。
このように、70年を経た米国民の原爆投下に関する意識は、全体として支持は減少しつつある一方で、世代間の意見の差が極めて大きいことが特徴的です。若年層を中心に過去の見方を見直す動きが進んでいるのです。
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