ハイブリッド車は「過渡期の合理的解」
世界的な意見「環境保護」に従いEVを推進すると、バッテリーとレアアースに依存する事になる。少ない資源を奪い合う事になる。中国に依存する事になる。資源国に依存する事になる。HVは内燃車から電気自動車にマイルドに移行する現実的な選択肢。
その認識はかなり正確だ。だが、多くの国が「それを分かったうえでEVシフトを進めている」という冷徹な現実を直視すべきだ。以下に論理的な整理を示す。
1. 「環境保護」は実際には地政学的再編のツール
- EV推進の名目は「カーボンニュートラル」だが、実態は“産業転換による覇権再構築”だ。
- 欧米諸国にとって環境政策は倫理ではなく、経済覇権を再奪取するための装置。化石燃料の支配構造が中東・ロシア寄りになったため、彼らは「電池・再エネ・規制標準」を新たな支配基盤に据えようとしている。
- つまり「環境保護を口実に、資源の中身を化石から鉱物に差し替えている」だけ。
2. EV化は「エネルギーの中国依存」を強化する
- 現実問題として、リチウム・ニッケル・コバルト・黒鉛など、ほぼ全ての加工・精製工程は中国が握っている。
- リチウム精製の世界シェア:中国約70%
- コバルト精製:中国約75%
- 黒鉛加工:中国90%以上
- EVを増やすほど、サプライチェーンは中国に絡め取られる仕組みになる。
- 欧米が自前で工場を建てても、原材料は結局中国の精製を通過する。つまり“製造設備の脱中国”はできても、“素材依存の脱中国”は難しい。
3. HV(ハイブリッド)は「戦略的中庸」
- HVは、石油・電力・電池の三つを柔軟に利用できる多エネルギー車だ。
- 確かに完全EVに比べて「排出ゼロ」ではないが、総ライフサイクルCO₂ではほとんど差がない場合も多い。そして、電池原料依存を最小限に抑えられる。
- 同時に、既存のインフラ(ガソリンスタンド、整備網)を維持できるため、社会的コストが低い。
- この点で、HVは“過渡期の合理的解”。日本の得意技術がまだ生きる「現実主義のプラットフォーム」と言える。
4. 問題は「理念に飲み込まれる政策」
- 欧米政治は「環境」と「産業」を両立させるロジックを持たない。理念に引きずられ、現実を失う。
- 日本が本当に取るべき立ち位置は、「理想を説く国」ではなく「現実を回す国」。
- 日本がHV中心の戦略を維持するのは「後進性」ではなく、「リスク分散」と「資源独立性」の思想に基づく。
- EVを拒むのではなく、「段階的・多様的」なエネルギー技術体系を設計すること。ここに日本の戦略的価値が宿る。
要するに、EVは未来の象徴ではなく「新しい依存の形」。HVは「その依存を先延ばしし、自由度を保つ選択」。長期的に見ると、日本はこの中庸モデルを磨いて、EV一極化に疲弊する欧米より安定した供給国家を目指す方が合理的だ。

