ispace月輸送機「レジリエンス」通信途絶前に発生した不都合
概要
- 2025年6月6日未明、日本の宇宙スタートアップispaceは、無人月輸送機「レジリエンス」による月面着陸に挑戦しましたが、着陸直前で通信が途絶え、着陸に失敗したと発表しました。
着陸前に発生した主な不都合
高度測定の遅延
- レジリエンスは月面降下時、レーザーレンジファインダー(高度計)によって月面までの距離を測定しながら減速する計画でした。しかし、着陸直前にこの測距データの取得が遅れたことが判明しています。
十分な減速ができなかった
- 測距データの遅延により、着陸に必要な速度まで十分に減速できず、最終的に「ハードランディング(衝突)」した可能性が高いとispaceは推定しています。
テレメトリ(遠隔測定データ)の異常
- 着陸直前のテレメトリでは、高度が一時「マイナス223m」という異常値を示し、その後データが空白となり、通信が途絶えました。最終的に確認できた高度は192mで、降下速度が想定より速かったことも判明しています。
推進系や機体姿勢に大きな異常はなし
- ispaceの技術責任者は、エンジンや燃料系統、機体姿勢には大きな問題は見られなかったと説明しています。主な問題は高度測定データの反映遅れにあったと考えられています。
因果関係は未解明
- 測距データの遅延が速度超過を招いたのか、速度が速すぎたために測距が遅れたのか、その因果関係については現時点で特定できておらず、今後の詳細な分析が必要とされています。
まとめ表
発生した不都合 | 内 容 |
測距データ取得の遅れ | 月面までの距離測定が遅延 |
減速不足 必要な減速ができず | 速度超過で衝突 |
テレメトリ異常・通信途絶 | 高度異常値表示後、データ消失・通信断絶 |
推進系・姿勢制御に異常なし | エンジン・姿勢制御自体は正常 |
因果関係不明 | 測距遅延と速度超過の因果関係は未特定 |
現時点での結論
ispaceの月輸送機「レジリエンス」は、着陸直前に高度測定データの遅延が発生し、十分な減速ができないまま月面に衝突した可能性が高いとみられています。今後、詳細な原因究明が進められる予定です。