淘汰
物価高、人手不足、後継者不在、中小企業の倒産
物価高、人手不足、後継者難による中小企業の経営困難と倒産が深刻化しています。
まず、人手不足は少子高齢化で労働力人口が約3分の2に減少し、特に中小企業で人材確保が困難になっています。生産性も大企業の約半分程度にとどまり、経営負担が増しています。次に、物価高騰で原材料や光熱費が上昇しても価格転嫁が難しく、収益悪化による倒産が増加しています。さらに、経営者の高齢化と後継者不足が深刻で、2025年には70歳を超える経営者が約245万人に達し、その半数以上が後継者未定です。この後継者難により、「黒字廃業」と呼ばれる経営は成り立っていても事業を断念するケースも増えています。これら要因の複合で、中小企業の倒産件数は再び増加傾向にあります。特に従業員4人以下の小規模事業者の影響が大きく、人手不足と物価高が倒産の主因となっています。
これらの課題は、日本の地域経済や雇用に大きな影響を与え続けており、早急な対策が求められています。
この現象は正常な市場競争の結果
商店街は減少傾向にあるものの、全体の店舗数は一部では微増している調査結果もあります。一方で、商店街内のチェーン店舗数や大型店舗は増加しており、郊外に大型店が急増して地域の小規模商店街や個人商店は影響を受け衰退が続いています。大型店舗の利便性や価格競争力により、大型店での雇用が増え、自営業から大企業等に雇われる形態への移行が進んでいます。この動きはモータリゼーションの拡大や消費者行動の変化、商店街の競争力低下によるものです。商店街の空き店舗率は概ね横ばいか微減傾向ながら、将来の増加見通しも多く、中小商店の減少は続いています。
この現象は正常な市場競争の結果として、大型店舗の台頭により自営業者の減少と就労形態の変化が促されていると考えられます。したがって、倒産した中小企業の従業員が大型企業で働くという移行は、経済全体の構造変化の一環と理解できます。
2025年10月11日 株価は過去最高なのに…中小企業で「あきらめ型倒産」が増加、倒産が12年ぶり5000件超の深刻なワケ
2025年度上半期の企業倒産件数は、12年ぶりに5000件を超え5146件となりました。株価は過去最高を記録し、訪日外客数も増加している中での倒産増加であり、この背景には物価高や深刻な人手不足、後継者難による中小企業の経営困難が大きく影響しています。特に従業員10人未満の小規模企業の倒産が全体の約9割を占め、倒産の負債額は小規模化しています。
中小企業が「諦め型倒産」と言われるのは、経営者の高齢化で事業継続の限界に達していることや、物価上昇や賃金上昇圧力が販売価格に十分転嫁できず、経営が厳しくなっているためです。人手不足を理由に挙げる倒産は過去最多となり、特にサービス業や建設業で倒産が増加しています。加えて、粉飾決算による倒産も散発しており、企業実態と財務数字の乖離が問題視されています。
このように、景気の明るい兆しとは裏腹に、中小企業の経営環境は厳しさを増し、倒産件数の増加に繋がっています。2025年下半期もこの動向が注目されており、政策面での物価高対策の行方が焦点です。
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